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【アビスパ福岡】長谷部式プログレッション4-4-2戦術分析!<J1第5節G大坂VS福岡>

どうも。さかりーにょです。

「勝ち点を取ることができる。勝利を掴むことができるのがいい監督だと思います。」

これは、アビスパ福岡の長谷部茂利監督の言葉であるが、その超リアリストぶりで昇格初年度の2021シーズンはクラブ史上最高順位である8位フィニッシュを果たしてみせた。

そんな昨シーズンの躍進を支えたのが4-4-2から繰り出される高速スライドを駆使した激しいプレッシングからの教科書通りのショートカウンター発動というパターン。

今回は、そんなアビスパ福岡の長谷部監督が2022シーズンに掲げる「プログレッション式4-4-2」戦術をJ1第5節G大坂VS福岡の試合を基に分析していく。

2022J1リーグ第5節 ガンバ大阪vs アビスパ福岡。

スタメン、スタッツ、マッチアップは下図の通り。

スタメン

スタッツ

マッチアップ

長谷部式プログレッション4-4-2プレーモデル

『プログレッションスタイル』。

これは、ポゼッションでもストーミングでもなく状況に応じて双方を使い分けるといういわばハイブリット型スタイルであり、長谷部式アビスパの目指すところである。

もちろん、これまでのコンセプトである「ゾーンコントロールをしながらボールを高い位置で奪い、なるべく早く、そして多くの得点機会を創出する」というモデルが根幹にある。

実際、2021シーズンのボールを奪ってからシュートまでの平均時間は14.2秒であり、リーグトップの数値である。一方で、2021シーズンはリーグ最下位のボールポセッション率42.5%(J STATS調べ)であり、ポゼッション率を上げることで選手にかかる大きな負荷を軽減する狙いもあると分析。

局面①:攻撃分析

攻撃の原則は前線の2枚にシンプルにロングボールを打ち込み、「相手陣内の高い位置で攻撃の起点を作る」こと。

そして、それに合わせて中盤とディフェンスが連動してサポートに入るというものである。

このロングボールに対してFWがボールを収めることができれば主にサイドを起点にしたクロス攻撃、相手ボールにあれば一目散にハイプレスをかけてのショートカウンターという攻撃が展開される。

下記のPA内侵入傾向を見てもらえれば分かる通り、サイドからの攻撃を主軸に置いていることが分かる。

また、アビスパ福岡にはサイドを起点にした崩し方が大きく3パターン落とし込まれていると分析。

サイド崩しパターン①:ペナ角から逆足で放たれる「ゴールに向かうクロス」(特にクルークス)

ペナ角付近からゴールに向かうインスイングで「GKとDFの間」か「2トップの片割れが流れたファーサイド」へボールを供給するパターン。

実際、2得点目のクルークスのクロス、そして3点目の金森健志のクロスはこのパターン①の発動から生まれた。得点シーン以外にも幾度となく「ペナ角逆足巻き込みクロス」を発動させ、好機を作り続けた。

この試合1得点1アシストを記録したクルークスはJ15節の全試合のなかで最も多い9本のクロスを供給した。

最後に見落とせないのが、このパターン①を発動する時に援護でオーバーラップを仕掛けるSBの湯澤聖人選手の存在。彼がクルークスを追い越すことでよりパターン①の成功確率を上げていると分析。

クルークスのクロス本数

サイド崩しパターン②:サイドでの1V1突破

クルークス、田中達也、金森健志の3枚はいずれもサイドを独力で抉ることができる選手。

彼らの足元に高い位置でシンプルにボールを供給することが攻撃パターン②である。

ちなみに、左サイドで少タイプが異なるのが杉本太郎選手。彼はワンツーやスルーパスなど周囲との連携でサイドを崩していくタイプであるため、5バックなどを駆使してリトリートしてきた相手に対して大きな力を発揮すると分析。

サイド崩しパターン➂:SBで起点を作ってからの崩し

パターン➂はSBで起点を作ってからの崩しだ。特に左SBの志知孝明の左足から斜めに“ズバッ”と放たれる楔のパスや、相手SBの背後へ出されるスペースへのパスは非常に効果的で、1点目はまさに彼の左足が起点となって生まれた得点であった。(1点目は相手DF昌子のカバーに行けない中途半端な位置に立つという完全なポジショニングミスも大きな原因ではあったが・・・)

SBからのビルドアップ

一方で、志知孝明からの楔に対する周囲の連動がなく、効果的な攻撃に繋がらない場合が多い。これは、中盤の1人が楔をトリガーとして思い切ってFWを超えていくサードマンランニングを実行することでより効果的な攻撃ができると分析。

局面②:ネガトラ分析

ボールロスト分布図が示す通り、最も多くボールを失っているのが相手ゴール前のエリア。

アビスパ福岡ボールロスト図

つまり、クロス攻撃が成功しなかったときが多かったと分析できる。

ボールを失う場所も敵陣内が多いことからアビスパ福岡の戦術が上手く遂行されていたことが伺える。

一方で、以外にボールロスト率が高いのが赤で記したエリア。

これは、局面①の攻撃分析でも前筆した通り「楔のボールに対するサポートの質の悪さ」が最も大きな原因であると分析。

さかりーにょ豆知識

試合後にG大阪の昌子源選手が「山岸祐也選手がとる微妙なポジショニングを掴み切れなかった」と語るように山岸祐也選手は「1.5列目に意図的に立つ」ことで相手の守備陣形を崩す働きをしていることが伺える。

局面➂:守備分析

守備は大きく「①ハイプレス」、「②リトリート」、「➂逃げ切り」の3つのパターンを持つ。

守備パターン①:ハイプレス

ハイプレス時はボールの取りどころを「サイドのミドルエリア」と定め、ハンター役をSBが務める。2トップのプレスをトリガーにしてサイドにボールを誘導してボールを刈り取る。

プレス時ハンティングエリア

この時、アビスパ福岡のプレスに窒息しそうになった相手SBがボールを蹴りこんでくる確率が高いので両CBは宮大樹やドウグラス・グローリのような前への強さと高さがある選手が起用されていると分析。

この試合でもプレスをかけられて苦し紛れに蹴ったガンバ大阪のロングボールを両CBが跳ね返し続けた。

守備パターン②:リトリート

リトリート時は4-4-2のスリーラインを20-25mの距離で保ち、最終ラインをペナ前3メートルほどのところに設定。そこからボールホルダーへ圧力をかける。ゴール前のスペースを消しながらボールをサイド方向へ誘導する狙いがあると分析。サイドへボールが流れた時に右SB湯澤聖人は対人守備力が高いので安定しているが、左サイドの志知孝明は1対1で相手に侵入を許してしまう場面が頻繁にあることは課題の1つと分析。

守備パターン➂:逃げ切り

ガンバ大阪戦では相手のパワープレーに対応するために83分にMF田中達也に変えて熊本雄太を投入。

5-4-1の布陣で逃げ切りを図った。

しかし、その後の失点が示す通り上手く機能しているとは言えなかった。

その理由は、G大阪がパワープレーの起点として最終ラインに投入したチュ・セジョンに対して1トップでは全くプレスをかけられなかったことであると分析。

チュ・セジョンによる高精度のロングボールを三浦弦太やパトリックに幾度となく打ち込まれるだけでなく、オーバーラップしてきたチュ・セジョンによるアシストまで決められてしまった。

5-4-1のブロックで後ろに重心を掛けすぎて、肝心のボールの出どころをフリーにしてしまったことは課題であると分析。

局面④:ポジトラ分析

ライン間の距離感が保たれているためにセカンドボールの回収率が高いのがアビスパ福岡のポジトラの特徴。特にCMの前寛之のドュエル勝率はずば抜けており、圧倒的なボール切り替えの早さからくるボール奪取と的確なサイドへの繋ぎでいぶし銀の働きを見せていた。さかりーにょ的には日本代表でも見てみたい選手として森保監督に推薦したい。

一方で、狙いであるサイドエリアでボールを奪った際に「カットボールを効果的に攻撃につなげることができない」シーンも多く見受けられる。ここはポジトラの課題ポイントであると分析。

さかりーにょeys 『長谷部式プログレッション4-4-2戦術』を破る方法を公開!

攻撃時:アビスパ福岡のハイプレス時にできるSB裏の広大なスペースを使い倒す!

アビスパ福岡がハイプレスでサイドに追い込み、SBを敵SHアタックをする準備をして前に出てきた際に、アビスパ福岡CBの「横ズレ」が遅れてSB後方に大きなスペースが生まれるシーンが散見された。

このスペースにFWを走らせて起点にする、或いはカウンターを発動させることで多くの得点機を作れることは間違いない。

守備時:サイドスペースの封鎖

主な攻撃がロングボール、サイド、ハイプレスからのカウンターなので、5バックでサイドのスペースを埋めることも1つのオプション。また、ボールを持たされ時の崩しやビルドアップの精度、バリエーションが乏しいのであえてボールを持たせてカウンターを発動させる機会をうかがうという展開も有効になると分析。山岸祐也にはマンツーマンでマークを付けることで起点となるプレーを未然に防ぐことも非常に有効だと考えられる。

※さかりーにょによる分析を踏まえた上でもう一度はハイライトをご覧ください!

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