どうも。さかりーにょです。
毎年のように主力選手を引き抜かれながらも魅了的な攻撃サッカーを展開するサガン鳥栖。
「リアクションではなく主導権を持ってアグレッシブに賢いフットボールを90分続ける」
これは、今シーズン就任した川井健太監督の理想形である。
2022シーズンも決して人材的、資金的に恵まれているわけではないが、この言葉通り浦和レッズをはじめとする強豪相手にも主導権を握る勇敢な戦いを実践している。
今回は、そんな川井式の可変3-4-2-1戦術をJ1第6節アビスパ福岡対サガン鳥栖の“九州ダービー”を基に分析していく。
2022J1リーグ第6節 アビスパ福岡 VS サガン鳥栖。
スタメン、スタッツ、3ライン配置図は以下の通り。
スタメン

スタッツ

3ライン配置図

本記事の内容
川井式の可変3-4-2-1プレーモデル
『あらゆる局面で数的優位を生み出す』
これが、サガン鳥栖のプレーの原則。
そして、この原則を実現するために
➀運動量
②分析
➂ポジショニング
という3要素を極限まで研ぎ澄ましている。そして、このプレーモデルに基づく3要素が限られた人材と資金力にも関わらず魅力的で攻撃的なサッカーを体現することができる秘訣であると分析。
それでは実際にサッカーの4局面に沿ってサガン鳥栖の戦術を分析していく。
局面➀:攻撃分析
『相手のプレス+1に状態を作り出し、ボールを前進させる』
これが、サガン鳥栖のビルドアップの原則と分析。特に後方からのビルドアップの安定性はJ1の中でも屈指のレベルに達しており、その原動力となっているのがGKの朴一圭選手、MF福田晃斗選手、
小泉慶選手である。GKを最終ラインに組み込み、後方4枚とボランチ2枚の6枚で自陣からボールをビルドアップしていく。
GKからのビルドアップの仕組み

自陣からファーストラインを超え、ミドルサードに侵入した際のビルドアップのキーワードは『ライン間』と『運ぶドリブル』でる。
『相手のマークが近くてもライン間の選手を使う』

2シャドーである堀米勇気選手と菊池泰智選手の高い技術力と洗練されたポジショニングでアビスパ福岡の最終ラインと中盤ラインの『間』でボールを受ける。
この時に、プレスをかけられればやり直し、ターンをすることができればFW垣田裕暉選手と両WBの
岩崎悠人選手、飯野七望選手と連携しながらファイナルサードへの侵入を図る。
『両CBの運ぶドリブル』

ミドルサードへの侵入パターンの2つ目がCBのジエゴ選手と原田亘選手の運ぶドリブルである。
この試合では特にジエゴの運ぶドリブルを積極的に行い、左サイドの数的優位実現に大きな貢献を果たしていた。
ファイナルサードでの崩しの仕組み
この試合でサガン鳥栖が見せた特徴的な崩しのパターンは大きく2つ。
それは、➀中央突破と②サイド攻撃だ。どちらの場合にも「2列目」、「3列目」からの飛び出しを通してサガン鳥栖のプレー原則実現に欠かせない要素である凄まじい「運動量」がなせる業である。
パターン➀:中央突破

サガン鳥栖が前半に見せた中央突破の形。惜しくもオフサイドになったが、アビスパ福岡は3列目からの飛び出しに対応することができなかった。
パターン②:サイド攻撃
サガン鳥栖のサイド攻撃は左と右で大きく異なる。
・左サイドは堀米、岩崎、ジエゴとCHが細かなパス回しからポケットへ侵入する
・右サイドは飯野の総力を活かして背後へのロングパスやシンプルなワンツーから手数を掛けずにサイドを崩す
局面②:ネガトラ分析
ボールロスト図が示す通りサガン鳥栖がボールを失う場所のほとんどがアビスパ福岡のゴール前であり、バイタルまでのビルドアップが成功していると分析できる。

また、後ろ向きでボールを失うシーンがほとんどないために前向きの「良い準備ができている状態」でネガティブトランジッションを遂行できていた。
局面➂:守備分析
サガン鳥栖の守備のパターンは➀ハイプレスと②リトリートに分けることができる。
パターン➀:ハイプレス時

アビスパのGK+4DFの5人に対してCF+2IHの3人でプレスをかける。
ボールの奪いどころは「ミドルゾーン」の相手のサイドハーフもしくは、CH。プレスのかかり具合と相手の位置によって後方の選手のポジショニングが決まる仕組みである。
パターン②:リトリート時

2WBを最終ラインに吸収させて5バックでブロックを生成。5-4-1の3ラインを引いて相手がファイナルサードに侵入できるスペースを消す。
さかりーにょ豆知識
両WBがネガトラ時に最終ラインまで戻り切れない場合にはCHの福田晃斗選手、小泉慶選手が両SBの脇のスペースをカバーするシーンが多くみられていた。サガン鳥栖の守備を成立させるためにはCMにはビルドアップを成功させられる適切な立ち位置を取り続けられるインテリジェンスと豊富な運動量が求められる。文字通り「チームの心臓」としての働きが求められる。この両CHはサガン鳥栖の可変戦術を遂行させるために替えがきかない選手であると言える。
局面④:ポジトラ分析
ポジトラ分析のパターンは大きく➀ハイプレスでボールを奪えた時、②リトリートでボールを奪えた時の2つである。
➀ハイプレスでボールを奪えた場合の優先順位は攻撃分析で前筆した「後方からの飛び出しを生かした中央突破」、それが難しい場合にはボールをサイドに迂回させてサイド攻撃を仕掛ける。
②リトリートした状況でボールを奪った場合にロングボールを用いることはほとんどない。GKと2CHの計算されたポジショニングで「相手のプレス人数+1」の数的優位を作り丁寧していく。
さかりーにょ豆知識
ディフェンス時の配置から攻撃の配置に可変するためにGKとCBのパス交換を使って「可変する時間を意図的に作っている」シーンも多いと分析
さかりーにょeyes『川井式可変3-4-2-1戦術』を破る方法を公開!
攻撃時の攻略法:可変時を付いたショートカウンター
アビスパが前半の20分に見せたショートカウンターにサガン鳥栖攻略のヒントがあると分析。

前半20分のこのシーンではボールを奪われた瞬間にサガン鳥栖の選手間の距離が適切でなかったためにプレスがうまく効かず、両CBの脇のスペースでアビスパ福岡の田中達也選手にショートカウンターを遂行された。
このように、サガン鳥栖が可変している瞬間に空くスペースを突いたショートカウンターが攻略の大きな鍵になると分析。
守備時の攻略法:後方からのビルドアップ封じ
サガン鳥栖を封じるための肝はビルドアップ時に形成される「+1の数的優位」という問題に対してどのように対処するかであると言える。
さかりーにょは『オールコートマンツーマン』という戦術を提言したい。
サガン鳥栖のビルドアップの特徴はGKを含めた数的優位である。しかし、GK以外の選手をマンツーマンで的確に掴むことができれば
簡単な前向きの前進を防ぐことができるだけでなく、ミドルサードでのビルドアップの特徴である「ライン間」も同時に封じることができる。
勿論、1枚剝がされた際のリスクは非常に大きく、諸刃の剣である。しかし、1枚剥がされた瞬間からゾーンディフェンスへと変更する仕組みを整えておくことで混乱を最小限に抑えることができると分析する。
さかりーにょより
是非あなたのサガン鳥栖攻略法をコメント欄から教えてください!お互いによりサッカー理解を深めていきましょう!