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【サンフレッチェ広島】ボールを持たずに試合を支配?スキッペ式ディフェンス戦術ミクロ分析!<2022J1第27節VS C大阪>

どうもさかりーにょです。

かつてはドイツの名門レバークーゼンやフランクフルトにドルトムントさらにはドイツ代表の戦術コーチとして2002年W杯の準優勝に貢献した名将スキッペ。

サンフレッチェ広島はその輝かしい実績にそぐわない見事な戦いぶりを展開している。

特に注目されているのは『スキッペ式ゲーゲンプレス』と称される激しいプレッシングであるが、鋭いカウンターを遂行するためにボールを敢えて握らせて構える『ブロック』も綿密に設計されている。

今回は、そんな名将スキッペ監督のディフェンス戦術を2022J1第27節VS C大阪を基にミクロ分析していく。

2022J1第27節VS C大阪

スタメン

スタッツ

【サンフレッチェ広島】スキッペ式守備戦術

スキッペ式守備戦術の基本

①ゲーゲンプレッシング

②【5-4-1のブロック構築】

多くの媒体がサンフレッチェ広島の守備を語る際にドイツ仕込みのゲーゲンプレスの一点でその戦術を表現しているが、本試合においてはプレッシング&ブロック守備の見事なデザインが目を引いた。勿論、思わず息をのむような激しいプレッシングもある、モウリーニョを彷彿とさせるような深い位置のブロックから一気にロングカウンターというオプションも十分に機能していた。

【サンフレッチェ広島】スキッペ式ゲーゲンプレッシング

ボールの回収場所をサイドエリアに設定し、1トップ2シャドーの3枚で2CBとGK、アンカーの4人を担当する。

3枚のいずれかのワンサイドカットのスプリントをトリガーにして一気にサイドにボールを誘導する。

ここの球際の強度はJリーグ随一で文字通りボールを刈り取る守備を遂行してくる。

同サイド圧縮でのボール回収場所は下記図の3エリアに設定している。

プレスに人数を割くためにカバーを配置する場面は少なく、マンツーマンの局面が多く生れるところが大きな特徴である。

後方のディフェンスの準備が整っていない時のプレスパターン

『WBが二人観る』

を原則とし、縦を切りながら背後にいるSHを背中で消しながらSBにプレスをかける。

ボールをセンター方向に誘導してボールを回収するデザインとなっている。

【サンフレッチェ広島】スキッペ式ブロック構築

スキッペ式ブロック構築の基本形は5-4-1で5レーンを封鎖する。

ミドルブロック、ローブロック共に相手2CBを1トップが、SBを2シャドーが監視し、最終ラインの2トップに対して3枚のCBで対応する仕組みとなっている。

ブロック間を5程度、全体で15m程度のコンパクトさを維持し、まずは縦パスを入れさせないようなポジショニングとスライドを実施。ボールを意図的に外回りになるように誘導する。

外側レーンから入る楔のパスは2ラインでサンドイッチしてボールを奪うようにデザインされている。

【サンフレッチェ広島】スキッペ式守備戦術の抜け穴

高い完成度を誇るスキッペ式守備戦術であるが、本試合では「ゲーゲンプレッシング」、「ブロック」の2パターンにおける守備をかいくぐり、得点に直結するチャンスを作り出すためのヒントを得ることが出来た。

スキッペ式守備戦術の抜け穴①:スキッペ式ゲーゲンプレッシングを破る方法

『ファーストディフェンスの寄せが甘い&後方の準備ができていない』

本試合ではC大阪が広島のゲーゲンプレスを破るシーンを数回作り出した。その成功例の中で共通しているパターンが『ファーストディフェンスの寄せが甘い&後方の準備ができていない』場合に起きる。

実際にC大阪がプレスをかいくぐったシーンではファーストディフェンスのベン・カリファがヨニッチに対して寄せきれず、誘導すべきサイドへのパスではなく楔を打ち込まれてしまう。また、後方のDFも楔のボールに対する準備が整えられておらず厳しくディフェンスに行けないことから一気にシュートまでもっていかれてしまった。

スキッペ式守備戦術の抜け穴②:ブロック守備を破壊する方法

『左WBの柏好文選手のリトリートの遅さ』

本試合では3回逆サイドからのクロスに対して柏好文選手が戻りきれないシーンがあった。運よくボールが届かなかったために致命傷にならなかったがすべて失点に直結する致命的なポジショニングミスである。左サイドにおける絞り緩さはブロック守備を破壊するための大きなカギになると分析。

さかりーにょeyes

『ボールを持たずにゲームを支配する』

さかりーにょは本試合を通じてこの言葉の神髄を体感した。

セレッソ大阪のボール支配率55%に対して広島は45%。しかし、走行距離、シュート数、スプリント回数で上回る数字を記録。

ハイプレスとミドル / ローブロックを駆使して相手を前進させない守備戦術が光った。

また、『とにかく平等に扱う』ことから選手から絶大な信頼を獲得しているスキッペ監督。

ハイプレスだけでなくブロックを作る時間を確保したハイブリッド守備戦術は体力を的確にコントロールできる。ゆえに、運動量とアグレッシブさを武器にするチームが陥りがちな夏場の失速とも無縁であった。

今後スキッペ式守備戦術がどのように進化していくのか。この類まれな名将から可能な限り多くのことを学んでいきましょう!

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