2024 Jリーグ ゲーム分析 セレッソ大阪(C大阪) ビルドアップ分析

【2024セレッソ大阪第20節】『川井式4-2-3-1』サガン鳥栖ビルドアップ分析~セレッソ大阪VSサガン鳥栖~

2024年J1第20節でC大阪に敗戦したサガン鳥栖。試合を通して何かもどかしさを感じましたがその中でも綺麗にボールを前線に運ぶビルドアップが随所に見られました。できればこの試合におけるサガン鳥栖のビルドアップの仕組みと構造を知りたいのですが・・・

どうもさかりーにょです。本記事はそんなサガン鳥栖ビルドアップの構造を2024 J1第20節セレッソ大阪VSサガン鳥栖の試合を基にミクロ分析していきたいと思います!

本記事の信頼性
・年間平均200試合以上を分析しながらオリジナルの「さかりーにょ分析メソッド」開発
・JFA公認指導者ライセンスB級
・CAF(アフリカ大陸サッカー指導者) C級
・JFAフィジカルフィットネスC級
・IFCO公認サッカー戦術アナリストベーシックコース修了
・AEFCA公認マッチアナリストコース修了
・元海外プロサッカー選手&指導者

本記事の内容

2024 J1第20セレッソ大阪 VSサガン鳥栖

スタメン

スタッツ

©スポテリア

マッチアップ図

4-2-3-1同士のミラーゲームとなる。故に優位ポジションがなく構造的に試合が均衡しやすい。
ボール保持時にどのように可変するかでビルドアップにおける優位性が変わる。

川井健太監督率いるサガン鳥栖は洗練されたビルドアップが代名詞と言える。一方で、シーズンを重ねるごとに対策され、自慢のビルドアップの切れ味が悪くなってきている状況も無視できない。
今回はそんな川合健太監督率いるサガン鳥栖のビルドアップパターンに焦点を当ててミクロ分析していく。

さかりーにょによるビルドアップ分析における「ビルドアップの定義」とは?

ビルドアップとは、英語で「作り上げる」「築き上げる」という意味を持ち、サッカーでは「攻撃を構築する」意味として用いらる。 DFや守備的MFが、自陣の後方から前方まで主にパスを活用してボールを運んでいくことが一般的なビルドアップの定義となる。

本分析では、サガン鳥栖のディフェンシブサードからミドルサード以降にボールを運ぶビルドアップの仕組みに焦点を当てて分析をしていく。

川合式サガン鳥栖ビルドアップの基本

サガン鳥栖のビルドアップは4-2-3-1の形を大きく崩すことなく前進していくという特徴がある。
これは、ボールを失った際のネガトラ時にすぐに守備の陣形を整えることができるリスク管理の側面もあると分析。
基本的なビルドアップの配置は以下の通りだ。

そんなサガン鳥栖ビルドアップの特徴は、


・中盤以降の選手は相手選手の間でボールを受けることが徹底されている
・GKがビルドアップに大きく関わる
・2DMのボールの引き出し方とスペースの作り方が肝
・ディフェンシブサードのビルドアップ出口はSBが多く、SBより前線に共有される
・トップ下の選手が相手ライン間に降りてきてボールを引き出す

このサガン鳥栖のビルドアップに対してセレッソ大阪はどのようなフロントプレッシングを準備したのだろうか?次にセレッソ大阪のフロントプレッシングの仕組みを分析していく。

小菊式セレッソ大阪のフロントプレッシングの仕組み

小菊監督が採用するフロントプレッシングの仕組みは4-2-3-1から4-4-2へ可変して圧をかけてくるゾーンプレスだ。

2トップのプレッシングを合図に後方の選手が連動してボ相手を同サイド方向に圧縮してボールを奪うというものだ。
この試合でも、サイド方向にボールを誘導してボールを奪おうとする意図を明確に持ったプレッシングをしていた。

セレッソ大阪4-4-2に対するサガン鳥栖のビルドアップ

サガン鳥栖はこのセレッソ大阪の強度の高いプレスに対してDMとOMの3枚が工夫することで安定したビルドアップを実現した。

DMの工夫

DMはCBやGKからボールを引き出した後にSBへ展開し、連続してワンツーのように動きなおすことでプレスを剥がしてボールを前進させることに成功していた。

この連続したプレーからのビルドアップは途中投入された福田選手が最も優れていた。

OMの工夫

OMはセレッソ大阪ゾーンプレスの構造上の穴(1ストライカーに対して1CBを置く)をついてOMがライン間に立ち、ボールを引き出した。

サガン鳥栖ビルドアップの課題と解決策

サガン鳥栖のビルドアップの課題は立ち位置の変化が少なく相手のプレスにはまりやすいというものだ。実際にこのゲームの中でも多くの場面でセレッソ大阪のプレッシング捕まっていた。
1つの解決策として、ダウン3を提案する。
ダウン3とはDMの1人が2CB間に降りて可変してビルドアップをするというものだ。

ダウン3を採用することで両CBで幅を作り両SBをさらに高い位置に置き、両WBをIHの位置に置くことができる。また、DMとOMを各ライン間に配置することで4-4-2のゾーンプレスを機能不全に陥れることができるのだ。

ゲームの中で従来のビルドアップとダウン3を併用することでより容易にビルドアップが成立すると分析する。

さかりーにょEYEs

4-2-3-1という配置の特性上、ビルドアップ時にサイドエリアではめられたり、ロングキックからのセカンドボール回収という一辺倒なパワーフットボールになりがちなチームが多い中、川合健太監督によってデザインされたビルドアップは異色の輝きを放っている。このビルドアップは4-2-3-1を採用している多くのチームにとって再現性が高いビルドアップパターンであると言えるだろう。

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