アフリカサッカー 個人選手分析

【サダム・スレイ】FC琉球を残留に導くオルンガ2世のプレーをミクロ分析!

どうもさかりーにょです。

FC琉球は激しい降格争いの切り札として夏の移籍ウィンドウで獲得したのがサダム・スレイ。

このガーナ出身のサダム・スレイ選手が移籍後に出場した4試合でチームは2勝1分け1敗。特にVファーレン長崎戦の決勝ゴールを含む怒涛の3試合連続ゴールとチャンスメイクの数々はまさにFC琉球のオルンガと言える。

今回は、そんなFC琉球を残留に導くサダム・スレイ選手のプレーを2022年J2リーグ29節熊本戦、30節甲府戦、31節長崎戦の3試合を基に徹底分析していく。

サダム・スレイ選手のプレー特徴分析

“191cm88kgの体格を最大限に活かしたゴール前におけるヘディングシュート技術の高さ!”

これが3試合を通じて最も光っていたサダム・スレイ選手のプレーの特徴である。

特に3得点すべてをサイドから上げられたクロスにヘディング合わせた形であった。

この圧倒的なクロスからの得点力の要因をミクロ分析していく。

クロスからの得点力の要因分析

要因①:体格を活かした競り合いのうまさ

1点目、2点目は191cm88kgを相手にピッタリと預け、相手DFを自分がもっとも高い打点でジャンプをすることができないようにしている。もちろん、サダム・スレイ選手も相手にピッタリと身体を付けているので助走を取ることはできないが、もともとの高さと垂直飛びの跳躍力で頭1つ相手より上回れるのでクロスが上がる前に動いたり入るためのスペースを作るのではなく、「敢えて身体を相手に密着させる」ことによりゴール前におけるヘディングシュートの勝率を上げている。

要因②:ボールに最大の力を加える&コースの打ち分け技術

3得点ともにヘディングシュートとは思えないほどのボールスピードと、ゴールの隅を的確に狙えるヘディングシュートテクニックが伺える。特に、助走無しの垂直飛びからそれほどボールスピードのないクロスに対してボールをたたくタイミングと力の乗せ方は凄まじい身体能力の賜物であると言える。

要因➂:左右どちらのクロスでも同じように精度高いヘディング精度を誇る

通常のストライカーは左右のクロスに対して得意、不得意があるのが常であるがサダム・スレイ選手は左サイドからのクロスで2点、右サイドからのクロスで1点と左右両方で得点を奪うことが出来る。特に、3点目の長崎戦で見せた得点はロングカウンターの起点、チャンスメイク、得点を自ら1人で遂行しただけでなく、「スペースを空けて入っていく」というヘディングパターンを披露。

多くのヘディングシュートのバリエーションを持っていることを示した。

サダム・スレイ選手がFC琉球にもたらす新たなオプションとは?

オプション①:ゴール前でのカオス創出

実は、FC琉球の直近のゴールでサダム・スレイ選手が起点となっているゴールが9割以上。シンプルにサダム・スレイ選手に打ち込まれるボールに対して相手DFやGKは大きくクリアをすることが出来ずに、ペナルティエリア内でカオスの状況が生まれる。この状況から甲府戦と長崎戦では2ゴールも生まれているのである。

オプション②:ロングカウンターに起点

FC琉球は攻め込まれている状態では4-4のブロックをゴール前に創りスペースを消しながら相手の攻撃に耐える。しかし、ひとたびボールを奪うとサダム・スレイ選手にロングフィード。前を向ける状態であれば自身でボールを運び、サイドに展開して改めて中で仕留めるという長崎戦で見せたようなチャンスメイクを、相手DFがいるようであればヘディングのフリックから阿部拓馬選手が仕留めたような熊本選のようなロングカウンターの起点になることができる。

オプション➂:セットプレーの強化

サダム・スレイ選手はセットプレー時において攻撃は勿論、守備時にも大きな存在感を発揮し、ボールを跳ねしている。攻守に渡り、FC琉球の新たなオプションとして大きな役割を果たすことになると分析。

サダム・スレイ選手のウィークポイント分析

デビューから3試合を分析した中でサダム・スレイ選手の弱点がいくつか見えてきた。

ウィークポイント①:オフザボールでの相手との駆け引き

空中戦では無類の強さを発揮するサダム・スレイ選手だが、自チームが相手を押し込んでいるときにオフザボールでの相手ディフェンダーとの駆け引きで相手の背後を取る動きや下がってきて楔を受ける際の立ち位置などの一連の動作に優れておらず、相手ではなく自分がやりたい動きをしているという印象を受けた。相手からすれば非常に捕まえやすいFWであると言える。

ウィークポイント②:足でのシュート精度

GKとの1対1やミドルシュートなどの場面で大振りをし、大きく枠を外すシーンがあった。決めているゴールすべてヘディングということもあり、今後地上戦においてゴール前のシュート精度とバリエーションを増やすことでより脅威を相手にもたらすことが可能になると分析。

さかりーにょeyes

FC琉球の救世主として大活躍を見せるかつて柏レイソルで無双したオルンガ2世ことサダム・スレイ選手。インタビューの中で

「一番大事なことはチームが勝つことです。そのために自分ができることは何なのか、そして自分のポジションであればそれは何なのか、そこを考えるとやっぱりゴールを奪うこと。一番前に立ってプレーしてそれを求められているのだから、結果がついてきていることを大事にして、どんな状況でもどんなコンディションでもどんな態勢でもゴールにボールを入れることを意識しています。その結果、チームが勝ってほしいし、自分も勝ちたいという思いを抱いてプレーしています。」

と語るようにその時々でチームのために尽くせるメンタリティーを持つ。

また、いち早くサダム・スレイ選手の能力に気付き、それを最大源発揮できる攻撃をデザインしたスペイン人指揮官のナチョ・フェルナンデス監督の手腕も併せて素晴らしいと言えるだろう。

J2残留に向けたラストピースであるサダム・スレイ選手の今後の活躍から目が離せない。

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