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【京都サンガF.C.】曺貴裁式“サンガプレッシング”の秘密<2022J1第16節 VS 川崎フロンターレ>

どうも。さかりーにょです。

12年ぶりのJ1の舞台でここまで5勝5分け6敗の上々の10位につけている 京都サンガF.C. 。

そんな京都サンガF.C.の躍進の原動力となっているのが曺貴裁監督の「代名詞」とも言える「サンガプレシング」。

今回は、そんなクロップリバプールのゲーゲンプレスを彷彿とさせる「サンガプレシング」を2022J1第16節 VS 川崎フロンターレの試合を基にミクロ分析していく。

スタッツ

スタメン

曺貴裁式『サンガプレシング』とは?

“ボールを奪うのに一番いいタイミングは「ボールを奪われた瞬間」である“

という哲学の基、前線の選手から相手のパスコースを限定させるような組織的なプレッシングを行い、相手のボールホルダーに向かって連続的にプレッシングをかけ続ける。

そして、ボールを奪った瞬間に「一番ゴールに近い選手」を狙うことを決まり事とし、カウンターアタックに繋げる。

曺貴裁式『サンガプレシング』ミクロ分析

『サンガプレッシング』は“パスの受け手制圧型”であり、ボールに近い1stディフェンダーがボールに向かってプレッシングを実行する。その動きに連動して後方の選手たちは「マンツーマンディフェンス」のような形でポジションをとる。

1stディフェンダーがあるパスコースを制限し、後方で意図的に作り出した1対1のデュエルでボールを奪うようにデザインされている。

また、このプレッシングでは、後方の選手は前向きで勢いをもってディフェンスすることが可能になる。

サンガプレスのデュエル強度の様子はこちらから!

相手GKからのビルドアップを許さないデザインされたプレッシングはこちらから!

『サンガプレッシング』の弱点?川崎フロンターレに対して機能しなかった理由とは?

実は、このゲームでは川崎フロンターレのボールポゼッションを前に驚くほど『サンガプレッシング』は機能しなかった。京都サンガ自慢のプレッシングがハマらなかった最大の原因は、

“『サンガプレッシング』に晒されながらも川崎フロンターレの選手が巧みな運ぶドリブル(ドライブ)を実行していたから”

であると分析。

サンガプレッシングで基準を作る役割を担う1stディフェンダーの最大の役割は「パスコース制限」であり、後方で万全の態勢でマンツーマンの状況を作っている仲間たちにボールを刈り取らせることである。

しかし、1stディフェンダーのプレスを剥がし、ドリブルで運んでくるとなると話は別だ。

構築したマンツーマンディフェンスは突如として数的不利となり、ずれが生じる。そして、川崎フロンターレはそのズレを的確に利用しながら前進を図っていった。

実際にドライブによってマークを剥がされるシーンはこちら(京セラスタジアムでさかりーにょ撮影)

裏を返せば、1stディフェンダーを剥がしてドライブすることができればサンガプレッシングを無効にさせることができると言える。

また、後方の選手の連動が遅れ、マンツーマンの状況を作り出せないシーンも散見された。連動が遅れることで川崎フロンターレにビルドアップを許してしまった。

”連動遅れ”からビルドアップを許してしまったの実際のシーンはこちらから!

さかりーにょeyes

『サンガプレッシング』は非常に整理された芸術的なJ屈指のプレッシングであることに疑いの余地はない。そして、2本目~3本目のパスに狙い定めてボールを刈り取り、6秒以内にゴールまで迫るそのストーミング攻撃は見るものを魅了する。

一方で、川崎フロンターレのように1V1の状況で剥がして前進することができる選手を多く抱えているチームに対しては現状では課題も多いと分析。

この試合のハイライトはこちらから!

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