3-4-2-1 フォーメーション(システム)分析

【3-4-2-1】サッカーフォーメーションの特徴・長所・短所を徹底分析!

トーマス・トゥヘルやジョゼ・モウリーニョ、アントニオ・コンテはなぜ近年3-4-2-1のフォーメーションを採用しているのでしょうか?3-4-2-1の特徴や長所・短所が知りたいのですが・・・

本記事はサッカーフォーメーション【3-4-2-1】に関するこんなお悩みを解決します!

本記事の信頼性

・年間平均200試合以上を分析しながらオリジナルの「さかりーにょ分析メソッド」を開発

・JFA公認指導者ライセンスB級

・IIFCO公認サッカー戦術アナリストベーシックコース修了

・AEFCA公認マッチアナリストコース修了

どうもさかりーにょです。

2022年カタールワールドカップで大躍進を遂げた森保ジャパンを筆頭にトーマス・トゥヘルやジョゼ・モウリーニョ、アントニオ・コンテなど4バックを主戦場で戦っていた多くの名将たちがその主軸フォーメーションを【3-4-2-1】に移しています。本記事ではそんな注目サッカーフォーメーションである【3-4-2-1】サッカーフォーメーションの特徴・長所・短所を徹底分析していきます。

本記事の内容

【3-4-2-1】サッカーフォーメーションの特徴とは?

【3-4-2-1】の攻撃における特徴は『中央の厚み』である。中央に2シャドーと2CHという4枚を配置しているために厚みのある中央攻撃を仕掛けることが可能になる。

また、ビルドアップ時も相手が2トップの場合にはCBを1枚フリーにすることができ、相手が3トップで来た場合にも両WBに迂回経路を作ることが出来るので相手のファーストラインを容易に超えることができる。

一方で、【3-4-2-1】の守備における特徴は両WBを最終ラインに下げて5バックにすることで5レーンをすべて封鎖することが可能になることである。

一方で、前線からハイプレスを仕掛ける場合には、あらかじめ明確にデザインをしておかなければ上手くはめられないことが多い。

【3-4-2-1】はハイプレス戦術やポジショナルプレーを採用してくる相手への相性が抜群である。

【3-4-2-1】サッカーフォーメーション攻撃時の長所

【3-4-2-1】攻撃時の長所その①:中央の厚み

【3-4-2-1】は攻撃時において中央に厚みをもたらすことが出来る点が攻撃時における特徴である。

先筆した通り、中央に2シャドーと2CHという4枚を配置しているために攻撃時に密集を形成して中央攻撃が成立しやすいからである。

【3-4-2-1】攻撃時の長所その②:ビルドアップの安定

『4-4-2キラー』の異名を持つ【3-4-2-1】は【4-4-2】に対して相性が非常に良い。【3-4-2-1】は【4-4-2】に対して最終ラインで常に+1の数的優位を作ることが出来る。またGKと両WBの3枚を迂回経路として使うことで後方のビルドアップが非常に安定する。

【3-4-2-1】攻撃時の長所その➂:カウンターアタックを発動しやすい

【3-4-2-1】は守備時に自陣ゴール前に意図的に5-2-3、もしくは5-3-2の守備陣形を敷くことで相手コート後方に広大なスペースを作り出すことが可能となる。個の能力と推進力を一定備えた選手を前線に配置することで、ポジティブトランジション時にロングボールを活用して少ない手数と少ない人数で強力なカウンターを仕掛け、完結することが可能になる。

【3-4-2-1】サッカーフォーメーション守備時の長所

【3-4-2-1】守備時の長所その①:5レーンをすべて封鎖

【3-4-2-1】サッカーフォーメーション守備時の長所は“数的優位で守りやすい”ということ。

具体的には、守備時に両WBを最終ラインに下げることで5バックを形成。5レーンそれぞれに1人のディフェンスを配置することで相手が4枚で攻撃してきた際には1枚を余らせることができ、5枚で攻撃を仕掛けてきた際も同数での対応が可能になる。

【3-4-2-1】守備時の長所その②:前向きで積極的な守備が可能

【3-4-2-1】サッカーフォーメーションはブロックをセットした場合には5枚で最終ラインを組むことが可能になるために積極的にインターセプトなど『奪いに行く守備』を実行することができる。最悪入れ替わられたケースでも数的同数になるだけなのでチャレンジャーはリスクを深く考えずにボールホルダーにアタックすることができる。

【3-4-2-1】サッカーフォーメーション攻撃時の短所

【3-4-2-1】攻撃時の短所:流動性に欠ける攻撃パターン

【3-4-2-1】では攻撃時に3-6-1のような形になり、両WBが高い位置にポジションを取る。攻撃は両WBを経由しながらIHが相手ポケットへの侵入や、FWに当てた落としを3人目が走り込むなどのパターンで崩していくことが一般的。一方で、ネガティブトランジッション時に「素早く」ブロックを形成しなければ両WBのスペースを容易に使われてしまうために立ち位置を崩すことができない。個のような要因から【3-4-2-1】は攻撃時において流動性に欠けるケースが多い。

【3-4-2-1】サッカーフォーメーション守備時の短所

【3-4-2-1】守備時の短所その①:高い位置でのプレッシングが成立しづらい

【3-4-2-1】は守備時に後方に重心を置いて5バックでブロックを形成するという特徴がある。

このために前線からプレッシングを仕掛ける際に前線の1枚、あるいは3枚でプレスをかけることになるが丁寧にプレスを設計し、落とし込んでおかなければ相手にディフェンスラインの前に広大なスペースを空けることになってしまう。

【3-4-2-1】守備時の短所その②:サイドエリアの圧倒的な薄さ

【3-4-2-1】はネガティブトランジッション時にWBの背後、3CBの脇のスペースを突かれることが多く、ピンチを招くシーンが多い。非常に薄いサイドエリアをどのように守備するのかをチームとしてデザインしておく必要がある。

【3-4-2-1】守備時の短所その➂:2CHにかかる守備的負担の大きさ

【3-4-2-1】のブロック形成は一般的に5-4-1あるいは5-2-3である。特に、5-2-3のブロックを形成する場合には2CHは非常に幅広いエリアをカバーしなければならいだけでなく、スペースを埋めるための細やかなポジショニングを取り続ける必要があり、フィジカル的に秀でてなければこの役割を担うことは難しい。

【3-4-2-1】実践例

【3-4-2-1】サッカーフォーメーションが実際に試合においてどのように運用されているのか?

ここではこれまでに2022シーズンにさかりーにょが分析した以下の3試合における3-4-2-1の運用法を参考にしていただければ幸いである。

 

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さかりーにょEyes

個の能力で勝る相手に対してでもしっかり守ってから勝率を上げることができる現実的なフォーメーションとして採用されることが多い。人数をあまりかけないカウンター主体の攻撃になることが多いために前線には個の能力が特に求められるが配置や立ち位置で相手に勝ることができる代表的なフォーメーションであることは間違いない。

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