北海道コンサドーレ札幌の代名詞であるミシャ式オールコートマンツーマンディフェンス。考えるだけで地獄のようなインテンシティと大きなリスクと隣り合わせな気がします。実際のところはどのような仕組みになっているのかが知りたいのですが・・・
どうもさかりーにょです。
本記事は2023J1第7節セレッソ大阪VS北海道コンサドーレ札幌の試合を基にこんな疑問を解決したいと思います!
本記事の信頼性
・年間平均200試合以上を分析しながらオリジナルの「さかりーにょ分析メソッド」を開発
・JFA公認指導者ライセンスB級
・IFCO公認サッカー戦術アナリストベーシックコース修了
・AEFCA公認マッチアナリストコース修了
・元海外プロサッカー選手&指導者
本記事の内容
2023J1第7節セレッソ大阪VS北海道コンサドーレ札幌
スタメン
スタッツ
4-1-2-3のC大阪に対するミシャ式『オールコートマンツーマン』の振る舞い
4-1-2-3の基本配置を取るC大阪に対して北海道コンサドーレ札幌は以下のようにマーク担当者を設定した。
しかし実際の試合ではすべてシーンでオールコートマンツーマンを実践しているのではなく、オールコートマンツーマンをベースとしてはいるものの、「アタッキングサード、「ミドルサード&ディフェンシブサード」に分けて2つの守備パターンを使い分けていた。
アタッキングエリアは高強度の『オールコートマンツーマン』
北海道コンサドーレ札幌はアタッキングサードでは以下の通り『オールコートマンツーマン』を実践
あまり知られていないがC大阪はJ屈指のGKビルドアップを持つ。C大阪は以下の図のように相手のゾーンディフェンスを逆手にとり、GKのキム・ジンヒョン選手が意図的に相手FWがワンサイドカットしてきた方向にパスを通ることで一気にボールを前進させるビルドアップを仕込んでおり、このビルドアップを起点に一気にサイドから攻撃を仕掛けるパターンが多い。
しかし、本試合ではゾーンマークではなく、以下の通りのマンツーマンディフェンスのためにC大阪が得意とするビルドアップを発動することができず、単調に蹴りこむロングボールを面白いように回収されていた。
また、中盤3枚のプレッシング強度が異常なほどに高く、特に前半は香川選手をはじめとしてほとんど何もプレーさせないほどの完成度の高いマンツーマンディフェンスであった。
ミドルサード&ディフェンシブサードは『マンツーマンとゾーンのハイブリッド』
北海道コンサドーレ札幌はミドルサード&ディフェンシブサードに関しては『マンツーマンとゾーンのハイブリッド』の守備原則の下でプレーする。
具体的には、ゴール前ではマンツーマンの相手を捨てて相手に対して『+1』の状況を意図的に作り出す。
実際にどこでどのようにマンツーマンからゾーンに切り替わるのかはゴールまで明らかに相手がボールを前に前進させようとしている時である。
以下の映像からも分かる通り、C大阪のDFがロングボールをコンサドーレ札幌の背後に供給することを察知した荒野拓馬選手は担当マークの香川選手を瞬時に捨て、味方DFの背後でカバーできるポジションを取っている。
さかりーにょEYEs
本試合では北海道コンサドーレ札幌の代名詞であるミシャ式「オールコートマンツーマン」をどのように運用しているのかをセレッソ大阪戦を基に分析してきた。
結果的に、ゾーンによって守備パターンを変えることでマンツーマンディフェンスが持つ「数的同数」というリスクを軽減していた。本試合ではそんなミシャ式のオールコートマンツーマンディフェンスの良さが存分に出たゲームであった。今後、この分析が1人でも多くのサッカーファンの目線を豊かにし、指導者・チームがオールコートマンツーマンの採用や運用の一助になるのであれば、これほど嬉しいことはない。
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