プレミアリーグ

トーマス・フランク率いるブレントフォード飛躍の秘訣とは?3-1-4-2の戦術分析

どうも。さかりーにょです。

プレミアの昇格組で大躍進をしているのがトーマス・フランク監督率いるブレントフォードです。

ユース年代から丁寧に経験と実績を積み上げ、コーチングスキルやスポーツ心理学にも精通しているトーマス・フランク。

そんなトーマス・フランクが見せる“昇格組らしからぬ”積極的なサッカー”を体現している3-4-1-2の仕組みについて、大金星をあげた第1節のアーセナル戦をベースに分析していきたいと思います!

◆基本布陣・プレー原則

トーマス・フランク監督は「昨シーズンからうまく機能していたから」という理由で3-1-4-2を採用。守備時には最前線からのワンサイドカットでボールをサイドに誘導させ奪う。リトリートした際には両サイドがディフェンスラインまで引いて5-4-1のブロックを形成し、ゴール前のスペースを消しながらボール奪取を狙う。一方で攻撃時には「ポケットへの侵入」をテーマに特にサイドで起点を作り、FWや2列目の連動で狙いであるポケットへの侵入を図る。

守備戦術

「ハイプレス」と「リトリート」の2種類のディフェンス戦術を併用している。

【ハイプレス】

 ハイプレス時には2トップのうちの一方がワンサイドを切りながらGKへプレスをかける。そのFWのプレスのかけ方を見て後方の選手の位置が決まる。

 ブレントフォードのハイプレス時の最大の特徴は最終ラインに「CBを余らせない」ということ。すなわち、オールコートのマンツーマンのような強度の強いプレスをかけ続ける。一枚剥がされた際のリスクが必然的に高くなるが、相手が侵入してきた位置や状況で剥がされた選手がリトリートするか2列目の選手が自身のマークを捨ててマークをずらすかの判断が実行される。

リトリートは相手が幅と深さを保った立ち位置でハーフラインを越えてビルドアップしてきた際に実行される。

【リトリート】

ブロックの形は5-4-1で最終ラインに両サイドが吸収され、FWの一枚が2列目に吸収される。ボールを奪ったら相手の背後にある広大なスペースを最前線のFWが狙うという優先順位が徹底されている。

ビルドアップ

ポゼッションの着地点を「ポケットへの侵入」に設定し、相手の立ち位置を見ながらボールを前進させていく。ポゼッションの大原則として「常に+1」の状況を作り出すための立ち位置を取ること。そして、ボールを最短距離でポケットまで運べないと判断した場合には両ウイングバック「迂回ルート」に設定し、再度の高い位置で起点を作り、2列目の飛び出し、FWのサイドのスペースへの流れ、FWにくさびを当ててからの連動などの様々なバリエーションでポケットへの侵入を狙う。

【ポケットへの侵入を大原則としてビルドアップを構築】

また、自陣GKからのロングボールでの優位性を活かすために必ず2人を同サイドに配置し、ヘディングでセッタ後のボールの回収を任務として与えた。この約束事を徹底した結果、1点目のシーンを作り出すことができた。

【GKからのロングボール時の配置】

ウィンガーをウイングバックとして使う

もともとウィンガーであるセルジ・カノスをあえて3-1-4-2のWBとして使うことで相手SBとの1対1の場面を意図的に多く作り出している。

さかりーにょeyes

ブレントフォードの躍進はディフェス時の「ハイプレス」、「リトリート」の使い分け、そしてビルドアップ時に着地点から逆算した立ち位置を綺麗に整理して選手たちに落とし込んでいるトーマス・フランク監督の手腕故である。手数は多くないが数パターンを徹底することで強敵を撃破するというあり方は再現性が高く、多くの指導者が参考にすべき観点であると言える。

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