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【2023静岡学園】プレミアリーグWESTで首位を独走!るタレント集団の戦術を4局面分析!~2023高円宮杯9節JFAU18プレミアリーグWEST【履正社VS静岡学園】~

高校年代最高峰のプレミアリーグ2023で9節WESTの首位に立つタレント集団静岡学園。毎年メンバーが変わる中でなぜ静岡学園が観客を魅了しながら勝ち続けることができるのでしょうか?圧倒的な「個」の力に焦点を当てることはよくありますが戦術面からその秘訣を知りたいのですが・・・

(撮影:さかりーにょ)

どうもさかりーにょです。

本記事は2023高円宮杯9節JFAU18プレミアリーグWEST「履正社VS静岡学園」の試合を4局面分析することでこんな疑問を解決したいと思います!

本記事の信頼性

・年間平均200試合以上を分析しながらオリジナルの「さかりーにょ分析メソッド」開発

・JFA公認指導者ライセンスB級

・IFCO公認サッカー戦術アナリストベーシックコース修了

・AEFCA公認マッチアナリストコース修了

・元海外プロサッカー選手&指導者

2023高円宮杯9節JFAU18プレミアリーグWEST【履正社VS静岡学園】

スタメン

スタッツ

引用:日本サッカー協会公式HP

マッチアップ図

構造上のマッチアップ図。赤丸の選手が優位となる

局面①:2023静岡学園『攻撃分析』

「攻撃」原則分析

原則①:ボールホルダーを含んだ三角形や菱形を形成

原則②:全選手の動きを連動させることにより、チーム全体をコンパクトに保つ

攻撃時の基本配置

“ライン間攻略&サイドを起点とした攻撃”

本試合では4-4-2の3ラインのゾーンディフェンスで同サイド圧縮を意図してくる履正社に対して巧みなライン間攻略とサイドを起点とした攻撃で履正社ディフェンスを切り裂いた。

この試合の中で特に際立った攻撃時の特徴は以下の3つだ。

攻撃特徴➀:最終ライン4枚と1アンカーで形成する『台形ビルドアップ』

本試合は静岡学園の攻撃のほとんどがアンカーの選手を経由し、ゲームが作られる。

このため、静岡学園はアンカーの選手にボールを丁寧に届けるために最終ラインとアンカーで台形を形成。この際に両SBはラインまで開かずに少し内側のポジションをとる。アンカーの選手は2トップの選手の背後で細かくポジション修正を繰り返しながらボールを巧みに引き出し、ファーストラインを超えた。

攻撃特徴②:サイドからの楔をスイッチとして攻撃のスピードを変化させる

静岡学園の代名詞ともいえるサイドアタック。両WG、両SB共に個で剥がすだけでなく非常に精度の高いクロスを共有できる。

特にこの試合で目を引いたのはサイドにボールが入り、そこから斜めの楔を入れた際の“イメージの共有”である。周囲の選手が相手の状況を瞬時に把握し、ヒラメキを共有しながら繰り出すワンツーや3人目を駆使したい突破の完成度の高さは際立っていた。

攻撃特徴➂:巧みなライン間攻略

静岡学園は両IHが履正社の最終ラインと中盤ライン間でボールを受け、高い技術で前を向きチャンスメイクをしていた。

局面②:2023静岡学園『ネガトラ分析』

静岡学園「ネガトラ原則」分析

“即時奪回”

2023静岡学園はボールホルダーを中心に3角形を形成しながらボールを前進させていくことが基本である。このため、ボールを失った際に周囲にいる人数が多く、強度の高いプレッシングを実行することができる構造であることも静岡学園の戦術の特徴だ。

一方で、すぐにボールを奪い返せない時には相手チームの縦パスや斜めのパスを阻止することを主原則とし、相手のボール保持者に横パスを出させる。

局面➂:2023静岡学園『守備分析』

静岡学園「守備原則」分析

原則①:3ラインの間の距離を狭め、同じラインにいる距離の選手間の距離を狭めることでチーム全体をコンパクトに保つ。

原則②:ボールの保持者にスペースと時間を与えないためにプレスをかける。

プレス時にはIHがCFの隣にスライドして2トップを形成し、プレッシングを行う。

サイドエリアにボールを追い込み、SH、SBでボールを奪うパターンとIHを含めた3トップで「外切り」のプレスでボールを中央に誘導してボールをセンターエリアで奪う2種類のプレスを使い分ける。

  押し込まれた際には4-5-1の立ち位置で3ラインのブロックを形成し、履正社が使えるスペース封鎖していた。

   また、ロングボールに対しても2CBのチャレンジ&カバーの役割が明確になっており、無失点に大きく貢献した。

局面④:2023静岡学園『ポジトラ分析』

基本的にはカウンタープレスからのショートカウンターが静岡学園におけるポジトラの原則である。

この際には縦パスや斜め前方のパスを多用することが特徴である。

具体的にはサイドに開いてポジションをとっている1人、あるいは2人が相手DFラインの背後にダイアゴナルランを仕掛ける。

相手に縦を消された際にはサイド開いているFWの足元にパスを出し、IHが2列目から背後に飛び出していくパターンも併せもつ。

さかりーにょEYES

テクニカルかつ観る者を魅了する静岡学園の最大の課題はスタミナであろう。本試合でも終盤に大きく運動量が低下して履正社に押し込まれる時間帯が多くあった。

また、コンビネーションは多彩であるが最終局面の個で違いを出せる選手が例年と比較して少ない印象を受けた。

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