どうも。さかりーにょです。
22-23シーズン、ジョゼ・モウリーニョ体制2年目を迎えたASローマ。21シーズは見事にUEFAカンファレンスリーグを制した。モウリーニョはこのシーズン途中から自身の第一システムとして長年愛用していた4-2-3-1ではなく『3-4-2-1』システムを採用している。
守備時には5バックに可変し、強固な要塞をゴール前に構築。一度ボールを奪うリバプールの名将クロップ監督に「カウンターモンスター」と言わしめた切れ味鋭いカウンターを発動する。
今回は、11月に日本に来日し、横浜F・マリノスと名古屋グランパスとの親善試合も決定しているジョゼ・モウリーニョ監督が率いるASローマの戦術を4局面フレーム分析していく。
(※相手チームは4-4-2で設定。)
本記事の内容
ASローマ基本布陣
基本布陣は3-4-2-1。3バックはペナ幅程度の距離をとり、2CHは相手中盤ラインの手前に位置をとり、WBはCHと同じくらいの位置をとる。2シャドーは基本的に敵のDFラインと中盤ラインの中間ポジションに立つ場合が多いが、1トップを超えて2列目から飛び出したり、2人ともボールサイドに流れてSBの背後をとったりWBとのポジションチェンジを行ったり、CHのポジションに入るなど広範囲に動く。1トップは中央で守備ラインを下げるだけでなく、後方からのロングボールを収めてカウンターアタックの起点となる働きが求められる。
【4局面戦術分析】局面➀:攻撃分析
『ゴールへの最短ルートを最優先する』
これが、モウリーニョの攻撃局面における主原則である。攻撃面においてはあまりデザインすることはなく選手個々のアイデアや能力に依存する傾向にある。また、モウリーニョは自身の攻撃原則を遂行するためにワントップには高身長でフィジカルと機動力、そして献身性を求める傾向にあり、ASローマではイングランド代表のエイブラハムやイタリア代表のザニオーロを起用するケースが多く、後方からのロングボールをカウンターの起点にすることができる選手を好む。
モウリーニョ監督の十八番であるカウンターアタックに関しては局面④のポジトラ分析でミクロ分析をしていくのでここではローマがボールを保持している場面での攻撃パターンを分析していく。
攻撃パターン➀:相手SBの背後のスペースを突く崩し
モウリーニョ下のローマではWBが相手SBを釣りだし、シャドーが釣りだされたSBの背後に侵入するパターンが非常に多くみられる。
この崩しパターンを遂行するためのポイントは『WBが大外まで開くが、高い位置とらないこと』ことである。シャドーの選手もDFと中盤のライン間に位置し、ハーフスペースに立ち位置を取ることでターゲットスペースであるSBの背後が意図的に空けていると分析。
また相手SBの背後が取れた際に空いてCBが対応に出てきた場合にはCB間の間に選手が走りこむことでオーバーロードを形成する仕組みとなっている。勿論、シャドーとWBがワンツーを駆使して相手SBの背後を取るシーンも多々ある。
攻撃パターン②:レイオフからの中央突破
モウリーニョの3-4-2-1はサイドにWBのみを配置する半面、中央に2CHと2シャドーの4枚を配置している。この配置的優位性を活かした中央突破を発動させるパターンも多い。特に、縦パスからのレイオフを繰り返しながら前進していくモウリーニョお得意の縦に速い中央突破通称「モウボール」は必見である。
モウリーニョお得意のレイオフを繰り返しながら前進していく『モウ中央突破』はこちらから!
また、コート全体を広く使い、ゆったりとしたボールポゼッションを使って選手を「休憩」させることもモウリーニョの特徴の1つである。
【4局面戦術分析】局面②:ネガトラ(ボールを失った時)
モウリーニョローマのネガトラ時の原則は即時奪回ではなく、リトリートしてのブロック形成である。モウリーニョは5-4-1と5-2-3という2つのブロックを仕込んでおり、前者は守備固めを目的とし、後者はボールを奪ってからのカウンターアタックを目論んだものとなっている。
ネガトラ時(カウンターを狙ったブロック5-2-3)
カウンター発動時にトップと2シャドーの3枚を活用できる点は大きな魅力であるが一方で2SHのカバー範囲が広くなり、負担は非常に大きくなる。また、両サイドのWBが攻撃から守備に戻り切れない場合にサイドエリアのカバーを同サイドのSHかCBが担っているが、スライドの遅れか決定機を作られるシーンも散見される。
【4局面戦術分析】局面➂:守備
モウリーニョと言えば『パークザバス』との異名をとるほどのブロック構築戦術に精通している。
守備時の局面では5-4-1でブロックを組み、最終ラインは各レーンに1人を配置する。
全員が前向きの状態で守ることができる状態を維持する。ペナルティエリア付近に築かれた強固な2台のバスを前に多くのチームが攻撃の糸口を見つけられずに苦戦するケースが多い。
【4局面戦術分析】局面④:ポジトラ(ボールを奪った時)
リトリートしてのブロック守備がモウリーニョローマの守備の特徴であることから、ボールを奪うエリアは必然的に非常に低い位置となる。
ポジトラの基本パターンは奪ったボールをエイブラハムにロングボール。エイブラハムは1人で受け、味方が上がる時間を作ることができる。この間に2シャドーとWBがスプリントでロングカウンターを仕掛けていく。
さかりーにょEyes
ボールを保持するのではなく、スペースを管理することで勝利を奪い取る。
そんな現実的なサッカーに多くのモウリスタたちが魅了されている。
ビッククラブは勿論、スモールクラブでも再現性の高いモウリーニョ監督の戦術は多くのチームの参考になると分析。
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